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目細八郎兵衛商店のお針道具 part.2

2021.06.01
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⇐part.1はこちらから


そして、17代目細八郎兵衛が、明治23年(1890年)「第3回内国勧業博覧会」に加賀毛針を出展、褒状を受賞したことで、加賀毛針のクオリティの高さと名声が広く世に知れ渡ります。鮎毛針釣りはますます盛んとなり、大正期には年間百万本余りが生産されたそうです。

現在では、かつてほどの需要はないながらも、加賀毛針とめぼそ針の魅力をより多くの方に知ってもらいたいと、伝統の技術を取り入れた新しい商品提案を続けています。

今回はそんな中から、かわいいお針箱やユニークなまち針など、編集室セレクトの素敵なお針道具をご紹介します。



  

桐箱入り 小さな裁縫セット

桐の小箱に直径1.5㎝ほどの小さな針山と糸巻き、めぼそ針5種が収められた裁縫セット。蓋を開けると裏面には長さ4.5㎝の小さな糸切りばさみがマグネットでついています。一つひとつが小さくてかわいらしく、このミニチュア感にも心奪われてしまいます。普段使いというよりも、旅行に携帯したり、デスクまわりの引き出しに常備したり、かわいい助っ人としておすすめしたい一品です。

手のひらにちょこんとのる愛らしさ。プレゼントにもぴったりです。



  

桐箱入り ハリネズミ裁縫セット

縦横7㎝角、高さ5㎝の小さな桐箱入りの裁縫セットです。何といってもこのセットの主役は羊毛フェルトで1点1点手づくりされた“ハリネズミの針山”。このつぶらな瞳に癒されること間違いなしです。小瓶に入った針4種とまち針各2本、小さな糸巻きが2色ついています。こちらの蓋の裏面にも上の桐箱入り小さな裁縫セットと同じ糸切りばさみがついています。古風な雰囲気漂う蓋の焼き印もおしゃれです。



  

めぼそ針 詰め合わせセット

木綿針が2種、絹針が3種、計5種各2本が、マッチ箱のようなレトロな雰囲気の紙箱に入っています。めぼそ針を初めて試したい方にもおすすめのセットです。針の名前に用いられる「三ノ二」や「四ノ一」などの最初の数字は太さを表し、一は木綿の極太針、二は木綿の太針、三は木綿の細針、四は絹針で、数字が大きくなるほど細くなります。一方、後の数字は針の長さを表し、数字が大きくなるほど長くなります。元は和裁用の針ですが、パッチワークのピーシングやキルティングでも愛用されています。



  

加賀野菜と和菓子のまち針

金沢ならではの野菜や和菓子をモチーフにした飾りまち針。和菓子は左から苺大福、五色饅頭、上生菓子、桜餅、イガラ饅頭、加賀野菜は左から蓮根、五郎島金時、クワイ、かぼちゃ、加賀太キュウリです。細部まで本物そっくりにこだわった職人技に思わず見入ってしまいます。この他にも寿司まち針や毛針まち針など、ユニークなまち針づくりにも取り組んでいて、飾りまち針コレクションを楽しむ方々からも注目を集めています。



 

金沢糸巻

金沢ゆかりのモチーフを模った、厚さ0.4㎝、大きさ3.5㎝前後の木製の糸巻き。左上の梅の花は、加賀藩主前田氏の家紋である“梅鉢紋”を。右上は“加賀八幡起き上がり”と呼ばれる金沢の郷土人形を模したもの。箪笥にしまっておけば女の子の衣装に不自由しないといわれ、誕生や婚礼のお祝いとして贈る習わしがあったそうです。右下は、その昔、娘が嫁ぐ際に魔除けとして持たせたといわれる“加賀てまり”、手前中央は兼六園の冬の風物詩にもなっている“雪吊り”、左下の“鼓”は加賀の伝統芸能である能楽「加賀宝生」の鼓をイメージ。5色の手縫い糸つきですが、残り少なくなったボビンの糸や半端な刺しゅう糸を巻き取っておくのにも便利です。


桐のこと
防湿性があり、虫が嫌うタンニンが含まれていることから防虫効果もあることで知られる“桐”。日本の木材の中では最も軽く、熱伝導率も低いため燃えにくいとされています。また、伸び縮みも少ないことから、すきまのない箪笥を作ることができ、古来より高級木材として重宝されてきました。約20年で大木になるという成長の早さから、かつての日本では女の子が生まれると庭に桐の木を植え、結婚する際の嫁入り道具として、その桐で箪笥を作って持たせる風習もあったそうです。

 

桐箪笥裁縫セット

桐箪笥をそのまま小さくしたような、高さ10㎝のミニ裁縫箱。引き出しの中には、色鮮やかな縮緬で作られた梅鉢紋の針山、糸巻きが3色、糸切りばさみ、めぼそ針の詰め合わせが入っています。木目の美しさが際立つ桐の無垢材を使用しているので、手に優しくなじみ、時を経て深い飴色に変わっていく経年変化も楽しめます。削り直せばきれいによみがえるのも、桐箪笥ならではの特長です。



 

桐の裁縫箱

収納力抜群の昔ながらの桐の高級裁縫箱。豪華セットの中には、裁ちばさみ、糸切りばさみ、めぼそ針の詰め合わせ、九谷焼の器入り針山、メジャー、まち針、木綿糸6色もついています。針は長さ約5.5㎝の紬針、木綿針の三ノ三・三ノ四、絹針の四の二・四ノ三の5種類が各25本入っているので、これだけあれば日常の針仕事に事欠きません。

『手づくり手帖』Vol.19より

撮影/白井由香里 スタイリング/田中まき子 取材・写真協力/目細八郎兵衛商店

ソーイングチーム編集スタッフ

ライタープロフィール

・ソーイングチーム編集スタッフ

日本ヴォーグ社ソーイング本の編集者たち(20~40代)。

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