RANCH 01
100%国内産の糸
日本国内でも購入できるようになったブルックリン・ツイードの糸。最初の糸「SHELTER」が発表された2010年以降、同社の糸はすべて、アメリカン・ウールを国内加工して丁寧に作られています。創業者でデザイナーのジャレッド・フロッドが自分の糸を作り始めたとき、その一番大きな動機となったのは、自分の暮らすアメリカで生まれ育った羊から、100%国内で加工を行った糸を作りたい、という思いでした。その思いがさらに進化して生まれたのがこのRANCH 01です。
カーボン・ファーミング
この糸はClimate Beneficial Wool(気候に寄与するウール)という、新しい概念のもとに作られています。地球温暖化に対抗する考え方で実践されている先進的な農業に、カーボン・ファーミングというものがあります。これは、二酸化炭素の「封鎖場所」として土壌を活用する考え方にもとづいた農業です。耕作地として掘り返すかわりに牧草を植え、炭素(C)を有機物の形で地中に保持し、空気中への放出を押さえます。農地を放牧利用するのはその一つのやり方で、RANCH 01はその実践放牧地で飼われている羊のウールだけを使って作られた糸なのです。この糸はさらに、環境への影響に最大限配慮して、草木染による染色所で染め上げられました。
素材を知るということ
地球への環境負荷という観点から、その生産を完了まで徹底して確認されつつ生まれた糸RANCH 01は少量限定生産なので、同社のウェブサイトからだけの販売でした。けれど、今後もこのようなシングルバッチ(1度限りの生産)のシリーズは続きます。「自分の扱う素材とのつながりを持つこと、それらがどこからやってきたのかを知り、可能な限り長く活かし続け、最後はふさわしい方法で消失させること」という考えに根を発してこの糸は作られている、とジャレッドは語ります。1枚のセーターに関わる羊の素性と糸の生産方法、制作の時間、着用の期間、そして最後に堆肥として土に還すこと...編み物という手仕事を通して、そこまで考えている生産者がいることを、このふっくらした美しい糸は、私たちに教えてくれます。
RANCH 01
アメリカン・ランブイエ種ウール100%
3ply worsted weight 220yds 100g 34.5ドル
ライタープロフィール
・Tricoquelicot /鳥古繰子(とりこくりこ)
編み物がインターネットを通じて広がり始めた頃から毛糸に目覚め、以来世界中から糸と情報を収集。国内外の編み物と糸の「旬」を追いかけている