Art Fiber Endo ここにしかない糸を求めて part.2
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ここにしかない糸を
生み出すA・F・E
こうして遠藤染工場は、高い技術を持つ染工場として広く知られる存在になりました。いろいろな素材に同じ色を安定して染められる技術が評価されて、何日も同じ色の糸を染め続けることも多かったそうです。
そうした環境の中で、隆子さんの心の中には顧客からのオーダーに応えるだけではなく、長年培われた独自の技術を生かして自分たちの望む色を好きな素材に染めてみたい、という想いが膨らんでいきました。
昭和57年、隆子さんや工房の人たちの想いが形となり、刺繍工房ENDOの刺繍・織物部門として、アート ファイバー エンド(A・F・E)が創設されます。
「長く染色を生業としてきた自分たちにしか作れない、ここにしかない色の糸があるのではないか」。この隆子さんの発想が、A・F・Eの原点です。
A・F・Eは、刺繍糸では定番とされる綿の25番糸を作らずに、色にこだわり、素材にこだわり、ここにしかない糸だけを求めたものづくりを続けてきました。
A・F・Eの開業当初は、「なぜ25番糸がないのか」、「こんな変わった糸は使い方がわからない」など、いろいろな声がお客さまからもあったのだそうです。
しかし、どんなときもぶれることのないA・F・Eの独創性と高い技術が徐々に支持されるようになり、ファンを増やしていきました。なんと現在では、3000色のオリジナルの糸がそろい、多くの著名な作家たちに愛される手芸店へと成長したのです。
「昔から、京都の地下には大きな池があって、その池の水質の良さと豊富さが、酒造りや美しい染色を支えているのだといわれてきました。この恵まれた環境を現代に生かして、ものづくりを続けていきたいといつも思っています」と隆子さんは語ります。
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英国湖水地方に伝わるラスキンレースが気軽に楽しめる初心者向けキット。
縫製済コースターとA.F.Eの麻刺繍糸がセットになっている。
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ハーダンガー刺繍に最適な絹紡ぼかし刺繍糸。
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染めたい色と染めたい糸が出合ってこそ生まれる「ここにしかない糸」。
その時々の感性で少量ずつ作られるこの糸も、確かにA.F.Eの心の形だ。
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リボン刺繍はもちろんのこと、コサージュやアクセサリーづくりにも活躍するシルクリボン。
鮮やかな発色を大切にしながら幾重にも重ねた染色は、A.F.E独自の技術。
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A.F.Eのインドシルクで編み上げた鮮やかな「華シルク」。
立体的で華やかなので、手芸作品のモチーフにも、アクセサリーパーツとしても活躍する。
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『手づくり手帖』Vol.22より
撮影/大西二士男(取材) 取材・文/平岡京子
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⇒part.3へ続きます
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ライタープロフィール
・ソーイングチーム編集スタッフ
日本ヴォーグ社ソーイング本の編集者たち(20~40代)。