「人」-Creator vol.3-
2021.02.25
岩永純則
IWANAGA Suminori
'77年 柿右衛門窯に絵付工として入り、赤絵付けを手がけ、翌年より有田物産に入社、染付の大物絵付けを学び、各地で陶壁画を制作。’87年独立、岩永錦付工房を設立。’01年伊万里・有田焼伝統工芸士(加飾部門)認定。’04年一級技能士認定。スタジオ キルンアート教室講師。
岩永錦付工房
http://www5d.biglobe.ne.jp/~iwanaga/index.html
スタジオ キルンアート
https://www.kilnart.jp/studio/
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■古い歴史を持つ有田焼
16世紀末に朝鮮から渡来した李参平により磁器の原料が発見され、有田での磁器製造がはじまりました。中国景徳鎮の製陶技術と技法をとり入れ、有田は国内における磁器の一大産地として発展。1640年代に酒井田柿右衛門がそれまで単色のみで描かれていた染付に、上絵付けの彩色を施し(染錦:そめにしき)、それらの磁器はヨーロッパに輸出されて王侯貴族に愛され、ドイツのマイセンなどで模倣されました。主に伊万里港から輸出されていたことから古いものは「伊万里焼」ともいわれます。
古い歴史を持つ有田焼は、伝統的に分業制でつくられます。成形・焼成された器はまず、素焼きの生地に青い下絵の具(呉須)で描く「染付(=下絵付け)」が施され、釉薬をかけて還元焼成後に、「上絵付け(=赤絵=色絵)を施してさらに焼成します。同じ手描きでも染付と上絵付けは技術が異なるため分業されますが、岩永純則先生は染付、上絵付けの技法のほか、手に持って作業ができないため描くのがむずかしい大物の絵付けや陶壁画など、幅広い作品を制作されるオールラウンダーでもあります。
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■有田絵付の伝統を継承
岩永先生に有田焼の魅力をうかがいました。
「なんといっても生地の白さ。なので、余白のある構図や日本的なデザインで白地を残すことで絵と両方が生きます。作品をつくるときは、だれか1人でも感動させたい、と思ってつくっている。描いているときは、売らないといけないんだけど売りたくないというか。」と作家ならではの心境を語ってくださいました。
日々の暮らしで、気に入った食器は、楽しんでほしいという岩永先生。実用品として使うにしろ、飾るにしろ、見たり見せたりして楽しむのがよいとおっしゃいます。
お教室での指導では、自分らしい絵を楽しんで描くこと、描きたいものを素直に描くことをすすめているそうです。「そのほうが、上手になろうとか、うまく描こうとかよりも、個性的でおもしろい作品ができる」とのこと。
現在、有田焼の製品はほとんどが転写紙(プリント)を使った工業製品になっていますが、伝統を受け継ぎ、手描きならではの個性や力を大切に伝えられています。
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作品販売は「伝統絵付で愉しむくらし展」サイトにて
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ライタープロフィール
日本キルンアート協会 STAFF・KilnArt編集チーム
日本キルンアート協会 STAFFは、KilnArtの様々なクラフトの講座企画や商品企画を通じ、作家やメーカーなどとのネットワークが自慢のチームです。
これまでの知識や実際の作品制作も手掛けてきた経験をもとに、皆さまにKilnArtの愉しみを紹介していきます。