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Laine de la Baie de Somme

2021.05.24
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「プレ・サレ」という言葉を聞いたことはありますか?



珍重される羊、プレ・サレ

フランス北西部の沿岸に、潮の満ち引きで海になったり陸になったりする地帯があります。プレ・サレ(préssalés 塩気のある平原)と呼ばれるこのような場所に生える植物を、餌としている羊たちがいるのです。ヨードやミネラルをふんだんに含む草を食べるこれらの羊の肉は、普通の羊よりも薫り高くコクがあり美味と言われていて、肉自体も「プレ・サレ」と呼ばれ珍重されています。

プレ・サレの羊たち


プレ・サレは現在、EUで統一されている保護原産地呼称(AOP)の認定を得ている高価な肉です。プレ・サレのAOPを持つのは現在フランスに2か所。ひとつが有名な観光地でもあるモン・サン=ミシェル、そしてもうひとつが今回紹介する糸の羊たちの産地、ベ・ド・ソンムです。


この土地にいる羊たちは現在7000頭ほどで、従来そのウールは加工用に中国に買い取られていました。プレ・サレの羊はもともと食用なので、毛糸用の羊に比べて相対的に粗い手触りのウールは、手編み市場にはやってこなかったのです。




羊好きな夫妻の手により

シャンピニー夫妻は、この地域にある美しい中世の村、サン・ヴァレリー・スー・ソンムに古いファームの建物を買い、2009年に引っ越してきました。夫妻は羊好きで、過去には自分たちでも何頭か飼い、そのウールを糸にしたり織物にしたりしていました。この土地に住むようになって、この大量のプレ・サレ羊の毛の大半が遠い中国まで運ばれて加工されることを知り、なんとかその一部でも地元で利用する方法はないものかと考えました。夫妻はその考えに理解を示してくれる牧羊業者を探し当て、2012年、初めて「AOPベ・ド・ソンム」羊のウールを100kg買い取りました。


さらにフランス国内で、ウールの洗浄から紡績までの加工を伝統的なやり方でやってくれる業者も見つけ、同年ヤーンショップ「ル・プティ・グラン」を開きました。以来この店では、一般的な毛糸のほかに、このごく珍しい毛糸を製造販売しています。この糸には、サフォーク、テクセル、そしてブロネーズというフランドル地方の品種の羊のウールが混ざっています。大人の羊と子羊のウールがブレンドされた現在の糸の手触りは、想像するほど粗くはなく、ふんわり軽くて、そして、うっとりするようなラノリンの良い香りが残っています。

フランス、べ・ド・ソンム産ウール100%、1カセ100g / 260m、3ply

ライタープロフィール

・Tricoquelicot /鳥古繰子(とりこくりこ)

編み物がインターネットを通じて広がり始めた頃から毛糸に目覚め、以来世界中から糸と情報を収集。国内外の編み物と糸の「旬」を追いかけている

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