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目細八郎兵衛商店のお針道具 part.1

2021.05.26
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天正三年(1575)創業 加賀の伝統美、熟練の技を今に伝える







目細八郎兵衛商店のお針道具

  

石川県金沢市にある目細八郎兵衛商店は、加賀前田藩が城下を開く以前の天正三年(1575年)より、伝統の製法を守り続けている針の製造元です。

今から440年ほど前、初代八郎兵衛は、難しいとされていた絹針の目穴(目度)の成形の工程で、京都系統の技術に独自の工夫を重ね、現在のめぼそ針を作り上げました。針を縦に研磨して生地との接地面積を減らし、繊細な針にさらにひと手間加えることで、布通りのよい針を完成させたのです。その針は、糸が通しやすいと高く評価され、加賀藩主より「めぼそ」の名を与えられます。そして、加賀藩の御用商人として代々、針を納めてきました。以来「めぼそ針」は、加賀繍をはじめとする伝統工芸や金沢のお針子たちから長年愛用されています。

この縫い針の技術を生かして生まれたのが、鮎釣りのための毛針でした。江戸時代には、川釣りは武士だけに許された特権でしたが、明治になり庶民が川釣りを許されるようになると、毛針の需要とともに、毛針職人や竿職人も増えました。



  

  

加賀毛針と製作工程。熟練した職人でも作れるのは一日30本程度。さまざまな色や模様の野鳥の羽毛を使い、一つひとつていねいに作られています。



  

江戸時代の川釣りの様子。この頃、川釣りは武士だけに許された特権でした。

『手づくり手帖』Vol.19より

撮影/白井由香里 スタイリング/田中まき子 取材・写真協力/目細八郎兵衛商店


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日本ヴォーグ社ソーイング本の編集者たち(20~40代)。

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