世界で活躍する日本人を紹介 vol.1
日本ではキルティングを自分でするのが一般的ですが、アメリカではキルトトップを作ったら専門の人にキルティングを頼む、という事がよくあるそうです。
アメリカでキルティングの受託の仕事をしているHiroko Meyersさんに、お話を伺いました。
キルトを学びに、アメリカへ
Hiroko Mayersさんは25年ほど前に日本でキルトを習い始めました。数年キルトを学んだ後、キルトを本格的に学ぶためにアメリカへ留学し、その後ずっとアメリカ・オハイオ州に住んでいます。住んでいるのは、アーミッシュ村へ車で一時間半ほどの場所で、冬はマイナス15度になるほど寒い地域です。
Hirokoさんのお仕事
Hirokoさんは14年ほどキルトショップで働いたのち、独立して、「Hiroko’s Longarm Quilting」という名前でキルティングを受託する仕事を始め、3年がたちます。
自宅の地下のアトリエで、お客様が持ち込んだキルトトップと裏布にアイロンをかけ、3層にしてしつけをしてHandi Quilter 社のロングアームミシン「Infinity 」を使ってキルティングをします。毎日8時間から10時間、ほぼ休みなくお客様のキルトにキルティングをしています。
広い範囲をキルティングできるタイプのロングアームミシン「Handi Quilter 」。キルトを動かすのではなくミシンを動かしながらキルティングするタイプのミシンです。アトリエにはHirokoさんが作った作品やキルティングサンプルなどが飾られています。
キルティングする時は、図案を事前に考えるより、実際に手を動かした方がドラマティックな仕上がりになるので、インスピレーションを大事にしています。ルーラーも使いながらお客様のキルトトップに合わせたデザインを考えます。
ルーラーは丸やカーブ、星型など色々な形があります。
リピーターのお客様には、前とは違う新鮮なデザインを心がけていて、新しいデザインにチャレンジするために何度も紙に書いて練習することもあります。
Hirokoさんが受託してキルティングした一例。どれもキルトのパターンやモチーフが映えるようなキルティングラインです。
暮らしに寄り添う、身近なキルト作り
アメリカでは、キルトは生活の中でとても身近なもので、「お母さんやおばあちゃんが作っているから。生活に必要なものだから。」と、気軽にキルトを作る方が多いです。例えばベッドカバーは布団のようなもの。またキルトを作ってオークションに出して売上金を寄附したり、でき上がったキルトを病院に贈る人もいるそうです。
キルトを作ることが生活の中の一部となっていることもあり、お客様の縫う技術はまちまちで、ゆがんだりほつれたりしているキルトを依頼されることもあります。そのような時には、できるだけきれいに見えるように補修したり、波打った部分が目立たなくなるようなキルトラインを考えます。お客様から「私の作ったキルトトップが、こんなに素敵になった!」と思ってもらえるように、日々工夫を重ねているそうです。
キルティングの仕事をするHiroko Mayersさん。
ロングアームミシンの下糸を巻く専用の機械。
糸はコーン巻(3000~6000ヤード)で、さまざまなデザインに対応できるよう、たくさんそろえています。
Hirokoさんのご自宅の庭にはキルトの看板を飾っています。
自宅のベッドルームとダイニングルーム。たくさんのキルトが生活の中で使われています。3Dのパターンで作ったベッドカバーとクッションは旦那様のEricさんが作った作品です。
Hiroko MayersさんのSNS
Instagram https://www.instagram.com/hirokomeyers/
Facebook https://m.facebook.com/HirokoLongarmQuilting/
この記事は「キルトジャパン2021年4月号春」に掲載されました。
ライタープロフィール
・キルトジャパン編集部