「人」-Creator vol.4
2021.05.24
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近岡 令 ― part1
CHIKAOKA Rei
STUDIO POSI(スタジオポジ)主宰、武蔵野美術大学ガラス研究室非常勤講師。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業、東京藝術大学大学院美術研究科博士号取得。
大学に勤務しながら創作活動を続け、2017年東京藝術大学平山郁夫国際文化賞ほか受賞多数。
著書に『フュージングをはじめよう』、『ガラスフュージング』。日本ヴォーグ社ガラスフュージング倶楽部監修
STUDIO POSI: https://studioposi.com/
Instagram: @rei_chikaoka, @studioposi
Facebook: https://www.facebook.com/rei.chikaoka
ガラスフュージング
■ガラスフュージング ~熔かしたガラスの造形
ガラスは、紀元前4000年以前から使われてきたといわれ、日本では奈良時代にペルシアから伝来したガラス(瑠璃)の器が、正倉院の宝物として収蔵されています。
高温での加工や技術が必要なため古い時代ではたいへんな贅沢品でしたが、今日では技術の発達とともに様ざまなガラス製品がつくられています。
「ガラスフュージング(fusing=熔かす)」は、板状のガラスを熔かして、器やアクセサリーなどをつくる工芸です。手軽な高温焼成用の電気炉(キルン)の普及とともに注目されている、ガラス造形の歴史の中ではまだ新しいジャンルで、さらなる進化の可能性が期待されるクラフトです。
■ガラスフュージングとの出合い~「窓用の透明ガラスを熔かしてみた」
ガラスフュージングの開拓者である近岡令先生に、このクラフトに注目し、作品を手がけるようになった経緯をうかがいました。
インテリアデザイン系の美大生のときに、図面ばかりの日々からどうしても「ものづくり」がしたくてガラスに興味を持つようになって吹きガラスをはじめられたという近岡先生。大学の助手として多忙のために工房になかなか通えなくなり、身近でガラスを熔かせないかと考えて、電気炉で透明の窓板用のガラスを熔かしてみたそうです。日本ではまだ、フュージングをする人がいないような時代、熔かせることが楽しくて夢中になって作品をつくるうち、アメリカのクラフト雑誌や本でカラフルな板ガラスがの存在を知り、作品にとり入れるようになりました。
アメリカの鮮やかで美しい色の板ガラスを使い、色鮮やかな作品を作ることが楽しくて仕方なかったのだそうです。
❖次回に続く
ライタープロフィール
日本キルンアート協会 STAFF・KilnArt編集チーム
日本キルンアート協会 STAFFは、KilnArtの様々なクラフトの講座企画や商品企画を通じ、作家やメーカーなどとのネットワークが自慢のチームです。
これまでの知識や実際の作品制作も手掛けてきた経験をもとに、皆さまにKilnArtの愉しみを紹介していきます。