くたびれてしまったマルチストライプのセーター
『毛糸だま』で過去に掲載された読み物をご紹介いたします。
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【今回のお題】「気に入り過ぎて、くたびれてしまったマルチストライプのセーター」
[毛糸だま2017年春号掲載]
袖口が擦り切れて、かけはぎまで出したお気に入りのセーターも、さすがに少々飽きがきて、出番が少なくなり…。
針仕事愛好家には、緻密な手作業ほど燃えるというタイプがいます。細かい作業が苦手な私には、そのような人々への尊敬や憧れとともに、自分が生涯得意になれそうもないという悲壮感、細かければ良いわけではないという開き直りが心の中でうごめきます。
そんな私ですが、ダーニングに出会ってからは以前よりも細密な作業もいとわなくなりました。…といっても虫食い穴の小指の爪ほどの面積を超極細の色糸を使ってダーニング。刺す面積や数は「自分が辛くなるちょっと前まで」というゆるいルールで、デザインは胸元を飾るカラフルな小花のコサージュのイメージです。
土台となったマルチストライプのセーターは肌触りのいい100%ウール製。そんなスムースな表面に深みを出すため、ざらっとした質感のラムウールや、ちょっと起毛するキッドモヘアの糸を選びました。刺す面積も小さいので、緻密作業に息が詰まる前に数個仕上がりますし、いつでも刺し増やせるのも嬉しいです。
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ライタープロフィール
・野口光
“hikaru noguchi”を率いるニットデザイナー。ダーニングにどっぷりはまり、こだわりのオリジナルのダーニングマッシュルームまで製造。 「野口 光の、ダーニングでリペアメイク」 、第2弾「お繕いの本」好評発売中(小社刊)。http://darning.net