独学だからできた 私らしい服づくり May Me 伊藤みちよさん part.2
すべてを出し切ることで
新しいアイデアが生まれる
2012年に初の著書が発売されて以来、毎年、ソーイングの本を発表し続けている。尽きることのないアイデアは、いったいどこから生まれてくるのだろう?
「新刊の制作に取りかかるときは、担当の編集さんと相談しながら、まずメーンテーマを決めます。例えば昨年の秋に出した『大人のまいにち服』では、“ワンランク上”や“人から褒められる”などのキーワードを中心に、作り応えを感じていただけるアイテムも盛り込むことにしました。それと同時に生地選びをする中で、ここ数年気になっていたタータンチェックやヘリンボーンなどの素材を取り入れることで、“ブリティッシュ”という別の切り口も見えてきました」
デザインのベースになるのは、“自分が着たい服”や“自分に似合う服”。小ぶりの衿やボートネックが多いのも、実はそのせい。
「もともとトラッドなどの定番スタイルが好きで、それは今も変わりません。そこに、お客さまからのリクエストや編集者さんのアドバイスが加わり、イメージが広がっていきます。モットーは、毎回100%以上を出し切ること。そうすることで、また自然に次のアイデアが浮かんでくるし、手放すことで新しい出会いが生まれます」
スチール製の工具箱をソーイングボックスとして愛用している。ふたの裏側にマグネットで針やツール類がとめられてとても便利。手前はボタンつけなど、手縫いで作業をするときに使用するセット。大きなケースには接着テープとテープメーカーを収納している。
型紙は作品ごとにファイリングして、大切に保管する。
ボタンなどの細かなパーツは、ジャムの空き瓶に種類別にストック。
壁に取りつけたアイロンホルダーはIKEAで購入。「サッと手に取れ、作業もスムーズ」
色数豊富なカラーリネンを愛用している。お客さまからのオーダー用に生地サンプルを用意し、ニーズに合わせて定番服のアレンジにも対応する。
ダイニングに隣接するアトリエ。「5年前にリフォームし、作業がしやすいよう、配置にもとことんこだわりました」
『手づくり手帖』Vol.20より
撮影/白井由香里 取材・文/梶 謡子
ライタープロフィール
・ソーイングチーム編集スタッフ
日本ヴォーグ社ソーイング本の編集者たち(20~40代)。