手の人 『 金子俊雄さん』 part.03
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常にベストのものを出す
起業後、一カ月は電話が鳴らず、ものすごく不安になったそうだ。最初の依頼をくれたのは、ワールド時代のモールラックの部下だった。
「せっかくできた縁、自分からは切らないというスタンスでやって来ました。人との縁に恵まれていることは、しみじみ感じています」と金子さんは言う。
起業して16年になる今は、アパレル企業から入るパターンの依頼の受注と、自社の通販サイト「洋服の型紙屋さんフルール」の運営を中心に多忙な毎日を過ごす。本の出版は、このサイトを目にとめた編集者からの一本の電話から始まった。
「私のモットーは『義理と、人情と、痩せ我慢』。新しいことを始めるとき、不安でも痩せ我慢して取り組んでみる。背伸びをしてチャレンジする。すると、あとになって『よかったな』と思えているものです。本を出すことも未知への挑戦でしたが、売れ行き好調と聞いて、一般の読者にも受け入れられたんだな…とうれしく感じています」
今後は、もっと通販で扱うパターンの種類を増やしていきたい、というのが金子さんの思い描く未来。作りたい服がまだまだたくさんあるそうだ。「昨日より今日、常にベストのものを発表したい」、と、上を目指す気持ちはずっと変わらない。
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常に複数の仕事が進行中。
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運営するネットストア「洋服の型紙屋さんフルール」では、犬種やサイズにこまやかに対応している犬服も人気商品。金子さん本人も、ゴールデンレトリバーのハルと共に暮らす愛犬家。
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会社設立時にCADの機械を導入し、パターンの制作はパソコンで行っている。
ウェブサイト制作にも力を入れ、常に時代をキャッチアップ。
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通販しているパターンには詳細な手順解説のイラストが添えられていて、まるでソーイングの本のように分かりやすい。
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プロフィール
金子俊雄(かねこ としお)
千葉県出身。日本洋服専門学校裁断科卒業。松屋銀座の注文紳士服のアトリエで縫製技術を習得。株式会社ハーバードを経て、株式会社ワールドでタケオキクチなどのパターンと技術を担当する。2001年に独立して有限会社セリオを設立。ウェブの型紙ショップ「洋服の型紙屋さん フルール」も運営するほか、『オールシーズンのメンズ服』 『本格メンズ服』(日本ヴォーグ社刊)の著書がある。
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『手づくり手帖』Vol.13より
撮影/白井由香里
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ライタープロフィール
・ソーイングチーム編集スタッフ
日本ヴォーグ社ソーイング本の編集者たち(20~40代)。