世界で活躍する日本人を紹介 vol.3
オーストラリアの各地で開催される数々のキルトショーに出展している、
Patchwork Ninjaを主宰する池田大佑さんにお話を伺いました。
オーストラリアでキルトの世界へ
池田さんは20歳の時にワーキングホリデーでオーストラリアに行き、そのまま現地の大学と大学院を卒業。以降ずっとオーストラリアに住んでいます。
池田さんのお母様・万里子さんは、熊本県で「パッチワーク・キルトスタジオ MARIKO」主宰しています。池田さんが大学院を卒業して現地の企業に勤めていた時、万里子さんが「オーストラリアのキルトショーに出てみたい」と提案。試しに出展したら好評で、その後もキルトショーに出展するうちにオーストラリア国内のキルトショーに出展する「Patchwork Ninja」が本業になりました。キルトショーにほぼ毎月参加して、ワークショップも開催。どうしたらうまく作れるかというノウハウや、適した道具の使い方を丁寧に教えることを意識しています。また、お客様が何で困っているのかを観察・ヒアリングし、それを解消するガジェット(道具)を提案するよう心がけていて、「Patchwork Ninja Show」というキルト商品のプレゼンテーションも開催しています。
キルトショーではオーストラリアのお客様に覚えてもらいやすいように、忍者の服を着ています。
キルトショーでのブースの様子。
イギリスのバーミンガムのキルトフェスティバルにも出展。これをきっかけにイギリスのクラフト専門の通販テレビにも出演したそうです。
オーストラリアのキルト事情
オーストラリアでは子育てが一段落したら手芸のコミュニティに参加するのが一般的です。よく作るのはキングサイズやクイーンサイズの大きなベッドカバーやブランケット(ひざかけ)。バッグは大きなサイズが人気です。オーストラリアではミシンでキルトを作る方がほとんどですが、日本人キルターが作る緻密で繊細な手縫いのキルトにあこがれや尊敬の気持ちを持っていて、学びたい方がたくさんいます。最近は刺し子も人気でタペストリーに取り入れる方が増えています。
親子で進めるキルトの事業
池田さんは当初はパッチワークについて詳しくなかったそうですが、万里子さんから習ったり、キットの説明を英語で書いているうちに、自らキルト作りを教えるようになりました。初めた頃は商品を考えるのは万里子さんでしたが、今は皆で商品開発をしています。また万里子さんの熊本のショップでは日本で珍しいアボリジニーの布を販売していたりと、親子で連携することで相乗効果が出ています。
新型コロナウィルスの影響でイベントが中止になったのをきっかけに動画配信も始めました。オンラインだと針目など細かい部分をきちんと伝えられるメリットも感じています。イベントが再開してキルトショーのお仕事も増え、オーストラリアのキルターに喜んでもらうために忙しい毎日を送っています。
日本の布や材料を使ったキットは人気です。
現在はゴールドコースト在住。週末は息子さん達を連れてビーチや川へ出かけます。
Patchwork Ninja のホームページ
https://www.patchworkninja.com/
万里子さんのホームページ
https://p-mariko.ocnk.net/
この記事は「キルトジャパン2021年10月号秋」に掲載されました。
ライタープロフィール
・キルトジャパン編集部