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世界で活躍する日本人を紹介 vol.4

2022.08.29
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フランスやヨーロッパ界隈で刺し子に関するショップや教室、展示会など幅広く活躍する佐久間聡美さんをご紹介します。

 


 デザイナーとして渡仏、そして刺し子作家へ


佐久間さんは東京の文化服装学院の専攻科で学んでいた時、高田賢三さんにデザイン画を見せる機会があり、それがきっかけでパリのKENZO社で働くことになりました。1年間の予定でしたが16年間デザイナーとして働きました。ある時しばらく服の世界から遠ざかりたくなって退職した後、ビンテージビーズを使ったビジューファンタジー・アクセサリーや、日本のプリント布を使った小物や洋服を作り、展示・販売をしていました。趣味で刺し子をしていたら、フランスの出版社から日本の刺し子の本を出版しないかという誘いがあり、2012年に1冊目の本「Sashiko d’hieret d’aujourd’hui」を出版。プロモーションのためパリで行われた手芸のプロフェッショナル用の見本市の小さなブースで本や掲載作品などを展示し、その後一般向けの手芸の展示会にも出店。刺し子作家としての仕事が増え、5年前にショップ兼アトリエ「sashiko-ya」をパリにオープンしました。日本の材料や用具を販売し、また刺し子、生地をランダムに配置して縫い付けていくBORO(ボロ)、一目刺しなどのワークショップなどを開催。フランス人のパッチワークや刺し子ファンの方が訪れています。

 


佐久間聡美さん

フランスの出版社から出版された、佐久間さんの著者本。

佐久間さんの主宰するショップ「sashiko-ya」の外観。

刺し子やBOROのキット見本が並ぶ壁面。すべて佐久間さんによるオリジナルの図案です。

お店の奥にある佐久間さんの作業机とワークショップスペース。

着物や刺し子糸、用具などが並ぶ棚。日本製の商品はフランスのお客様に喜ばれます。

 


フランスで人気の手芸と大きなイベント


フランスの手芸愛好家の中でもパッチワークのファンの方は多いです。フランスで開催される大きな手芸のイベントは、パリで行われるAiguille en fête (針の祭典)とCréations & savoir-faire (パリ、クラフト&手芸見本市)。他にはナントのPour l’amour du filと、アルザスの町をあげてのイベントCarrefour Européen du Patchwork もあります。どれも国内外のパッチワーク愛好家が多く来場します。

佐久間さんは、コロナ禍に入る前はこれらのすべてのイベントに出展し、作品展示やオリジナルキットやオリジナル図案、材料等の販売をしていました。

佐久間さんが本を出版したての頃はまだ刺し子はめずらしい存在でした。刺し子に最初に興味を持ってくれたのは、パッチワーク愛好家が集まって作品を作ったり見せ合ったりする「パッチワーククラブ」の人たちでした。ぐし縫い、という点でキルティングと共通点があったのかもしれません。日本人に対して友好的で、日本の文化に興味を持つ方も多く、イベント出展の効果もあって最近では刺し子のファンも増えています。

 

フランスで出展した展示会のブースの様子。

お店で開催している刺し子のワークショップ。巾着やポーチは人気です。

 


フランスで広める、刺し子とBORO


フランスでは日本の古典柄や家紋などを刺すクラシックな刺し子が主流ですが、BOROやINDIGO(藍染め)の展示が増え、BOROの認知度が上がってきたので、BOROと刺し子を組み合わせた作品提案もしています。また一目刺しも普及させたいと、いろいろなワークショップを開催しています。フランスやヨーロッパ界隈で、日本人として自国の昔からある素晴らしいテクニックを、現代の生活の中に溶け込ませ、多くの人に知ってもらいたいという思いで、日々活動しています。

 

日常の中で使えるクッションやバッグは人気があります。

ショップに展示している、ジーンズに刺し子ステッチをした作品。

ワークショップで作る巾着。クラシックな刺し子は人気ですが、これからは一目刺しも普広めていきたいと思っています。

刺し子とBOROを組み合わせたフレーム。


佐久間さんのSNS

インスタグラム @sashiko-ya




この記事は「キルトジャパン2022年1月号冬」に掲載されました。

キルトジャパン編集部

ライタープロフィール

・キルトジャパン編集部

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