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吉田サチ子さん

吉田サチ子さん

【プロフィール】福島県郡山市出身。桜の聖母短期大学家政科卒。故野原三輝氏に指示、キルト歴21年(2006年当時)。国内外のキルト展において多数の入賞、入選を果たす。1994年「日本んのキルト20人展」、1998年「交際キルト博」などに出品。


「夢幻」1988年制作 204×204cm

着物の絹地で作った最初の作品。父母、姉妹、祖父や祖母、祖父母の着物、初めて骨董市で買った着物など、思い出深い布がたくさん使われている。このキルトにはパッチワーク教室で習ったテクニックが多く活かされている。


始めの2枚以降、ずっと和布を使用

艶やかなちりめんを使用した、和のキルトで知られる吉田さん。仙台で子育てをしながら手芸を楽しんでいたが、ご主人の転勤が仙台から東京に決まり、ハーツ&ハンズの野原三輝さんのところへ通い始めたのが、1984年12月頃のことだった。「パターンを習うたびに、色合いとか全体のできに三輝先生が点数をつけてくださるのですが、結構ドキドキしながらも楽しかったですね。先生は優しいので点も甘くて、大体が皆85点以上ついていましたが、1回だけ100点をもらいました。みんなの作品を見るのも、楽しいものでしたよ」

ハーツ&ハンズには12年間在籍したが、入って2年後から、近所の人たちに教え始めた。入校初めての作品は、バスケットのパターンのトラッド。次に何を作ろうかなと三輝さんに言うと、誰も作ったことが無いパターンだからライジングスターがいいと、製図まで引いて下さったという。トラッドを2点作ったところで、アメリカの生地のパッチワークから離れて、何か自分らしい作品を作りたいと思い始めた。当時はパッチワークと言えばアメリカのVIPの生地が主流で、アメリカの作家たちの作品に自分の使った生地が使われていると「この生地私ももってる!」と大喜びするような時代だった。「そこで私は、生地を変えようと思ったの。日本には着物地という素晴らしい遺産があるじゃないですか。両親や親戚の着物をもらってほどき、でき上がったのが『夢幻』という作品でした」

吉田さんの母方の祖父は、二本松に製糸工場を持っていたそう。田舎の家に行くと土間には繭がいっぱい詰まった麻袋がいくつも置いてあった。着物地へと引き寄せられたのは、偶然ばかりのことではなく、運命的とも思えるのだ。



『波の泡の調べー折り紙を折って開いて二艘船』2004年制作 200×200cm

「折り紙を折って開いて」から生まれた二艘船のパターンで、今回はパソコンを使って回転させ、さらに回転の度数を変えてある。着物地とデジタルによるデザインで、古さと新しさを表現。


─本文より一部抜粋─ キルトジャパン2006年1月号より


キルトジャパン編集部

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・キルトジャパン編集部

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