野口光さんに聞く、ダーニングの魅力
セーターや靴下などの、虫食いやすり切れ、シミなどにステッチをして蘇らせる、ダーニングが注目を集めています。
キルトジャパンで連載している「世界の手仕事から」でおなじみの野口 光さんは、ダーニング人気の火付け役としてワークショップや教室を開催し、『野口 光のダーニングでリペアメイク』の著者でもあります。野口さんの作品とともにダーニングの魅力をご紹介します。
「キルトジャパン2019年10月号秋」より抜粋してご紹介します。
野口 光
Noguchi Hikaru
東京生まれ。武蔵野美術大学卒業後、英国ミドルセクス大学のテキスタイル科ニット専攻。卒業後、ニットデザインスタジオ「hikaru noguchi textile design」を設立。英国、南アフリカ、日本のニットや織物工場と提携、ニット小ものブランド「hikaru noguchi」のコレクションを制作、発表。執筆やダーニングなどのワークショップを精力的に行う。近著に「野口光の、ダーニングでリペアメイク」(日本ヴォーグ社刊)。
ダーニングとは古くから行われてきた修繕方法の一つ。ヨーロッパでは昔からダーニングマッシュルームという道具があって、日常的に行われてきました。ダーニングすることでもう1シーズン長く着られるようになりますから、現代の私たちの暮らしにも役立ちます。
シミや穴、糸切れは自分の意図とは関係なく偶然できるもの。まずは穴をふさぎ、シミを隠すことで目的を一つ達成。そこからもう少し広げて「何色で刺したらかわいくなるかな?」と考えながら自由に刺していくところが、ダーニングのおもしろいところです。
使う道具はダーニングマッシュルーム、仮止めのり、糸切りはさみ、針。仮止めのりは当て布を使う時の仮止めに便利。
ダーニングで使う道具はシンプルです。
デニム、コットン、ニットなど幅広く使えますが、織り目・編み目の大きいものや滑りやすい素材は向きません。糸はモヘア糸、極細毛糸、刺しゅう糸、手縫い糸など。
野口さんオリジナルデザインのダーニングマッシュルーム。左から、靴下や手袋の指に適したダーニングスティック、小さい部分を修繕しやすいダーニングこけし、一般的に広く使えるダーニングマッシュルーム(止めバネタイプ)、水玉模様がかわいい立ち型タイプ、ポケット部分に便利なダーニングマカロン。すべて日本製。
ダーニングしたウールのマフラーと靴下。ステッチや素材を変えたり、また上や下からあて布をしたりするなどして作った、まさにダーニングのサンプラーです。
カシミアのカーディガンを解体して作ったバッグ。カットした三角形のあて布をのせて、ダーニングのステッチで自由に刺していきます。両脇にとび出た三角形のモチーフがユニーク。
7月4日発売の「キルトジャパン2021年7月号夏」に、野口光さんと岡野栄子さんのチクチク対談が掲載されます。お楽しみに!
ライタープロフィール
・キルトジャパン編集部